AI時代、ホワイトカラーの“終わりの始まり”か?
世界的なコンサルティング企業「アクセンチュア(Accenture)」が、約1300億円規模の人員整理(リストラ)計画を発表しました。
これは2025年9月25日に公表されたもので、AI(人工知能)の急速な普及によって「知的労働」のあり方が根本的に変わりつつあることを象徴するニュースとして注目を集めています。
人員整理の概要と背景
今回の発表によると、アクセンチュアは「事業最適化プログラム」と名付けた施策を今後約6ヶ月にわたって実行する予定です。
その中で計上される費用は非常に大きく、
- 2025年6〜8月期に約6億ドル(約900億円)
- 2025年9〜11月期に約2.5億ドル(約375億円)
と見込まれており、合計で約8.5億ドル(日本円でおよそ1300億円)に達します。
これほどの規模の人員整理は、同社の歴史の中でも異例です。
AIがもたらした構造変化
ジュリー・スウィートCEOは決算会見で、「必要なスキルの再教育が現実的ではない人員の退職を段階的に進める」と説明しました。
つまり、AIに対応できない人材を整理し、AIを扱える人材にシフトしていくという方針です。
アクセンチュアはすでにAIを活用した業務効率化を積極的に進めており、今後は「浮いた人件費を新たな投資に回す」としています。
これにより、AI開発やデータ分析などより付加価値の高い分野へ資金と人材を集中させる狙いです。
すでに始まっていた“静かなリストラ”
実はこの発表前から、同社の従業員数は減少傾向にありました。
2025年8月末時点での従業員数は約77万9000人。
前の四半期からすでに1万人以上減少していたことが確認されています。
売上高は前年同期比で7%増加していたものの、純利益は16%減少。
利益率の悪化が進み、構造改革が不可避な状況だったことが伺えます。
コンサル業界に広がる危機感
コンサル業界はこれまで「高収益・高付加価値」の代名詞でしたが、
AIの発展によって、その前提が崩れつつあります。
例えば、
- 市場調査
- 業務改善提案
- データ分析
- 経営戦略のシミュレーション
といった従来コンサルが担っていた知的労働は、今やAIが高速かつ高精度で代替できる時代になっています。
企業側からすれば、数百万円のコンサル費を払うよりも、AIを導入すれば24時間働く“デジタル社員”が同じ仕事を瞬時にこなしてくれる。
こうした“合理化の波”が、いよいよホワイトカラーの領域にも押し寄せています。
ネット上の反応:「コンサル不要論」広がる
今回のニュースに対し、SNSやコメント欄では辛辣な意見が相次ぎました。
- 「AIでコンサルは不要だろうな」
- 「会議ばかりで生産性がない役員もいらない」
- 「東大出てすぐコンサル入った人たち、次はどこ行くの?」
- 「建設・介護・農業に行けと言いたい」
など、ホワイトカラー職に対する厳しい視線が目立ちました。
一方で、「AIをうまく使える人にはチャンスが広がる」との意見もあり、
“AIに使われる側”と“AIを使いこなす側”で格差が拡大する時代の到来を示唆しています。
「AI × コンサル」は今後どうなるのか
アクセンチュア自身は、AIによるコンサルティング支援を強化しています。
ChatGPTのような生成AIを利用した資料作成・市場分析ツールを導入し、人間のコンサルタントがより「創造的・戦略的」な領域に集中できるような体制を整えつつあります。
しかしその結果、“AIを扱えないコンサル”は淘汰され、“AIを操るコンサル”だけが生き残るという構図が生まれつつあります。
今後の見通し:ホワイトカラーの再定義へ
今回の人員整理は単なるリストラではなく、「知的労働の再構築」を意味しています。
もはや“頭脳労働=安泰”ではありません。
プログラムやAIが同じレベルの分析をこなすなら、企業は人ではなくAIに発注する時代へとシフトしていくでしょう。
日本でもすでに、ホワイトカラーのAI代替が進んでいます。
例えば、経理業務・資料作成・法務チェック・営業提案などもAIで自動化できるようになり、「オフィスワークの半分は機械で代用可能」と言われています。
まとめ:AI時代に生き残るためには
アクセンチュアの1300億円リストラは、単なる企業ニュースではなく、AIが人間の“考える仕事”を奪い始めた象徴的な事件です。
これから必要とされるのは、AIに置き換えられない「創造・共感・戦略・コミュニケーション」の領域。
逆に、AIを使えない人は、これまでのキャリアや学歴に関係なく“時代に取り残されるリスク”が急速に高まっています。
「AIに奪われるか」「AIを使いこなすか」――
今まさに、ホワイトカラーの分岐点に私たちは立たされているのです。
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