万博は本当に黒字なのか?報道が語らない「大阪万博の真実」を数字で徹底解説

【残酷な真実】万博は本当に黒字なのか?報道が語らない“万博の裏側”を数字で徹底解説!」の内容をもとにした記事です。

2025年10月に閉幕した大阪・関西万博。ニュースやワイドショーでは「入場者数2,500万人超」「黒字280億円」など、成功を強調する報道が多く見られました。


しかし――会計士の目線で数字を冷静に見信哉ると、「黒字」と言い切るには多くのトリックが隠されていることがわかります。

この記事では、公認会計士・税理士の山田信哉氏の解説をもとに、過去・海外の万博と比較しながら、本当の収支構造を明らかにしていきます。


目次

「黒字280億円」の内訳を分解してみる

まず報道されている「黒字280億円」とは何の数字なのか。
大阪万博の運営収支は以下のようになっています。

  • 運営収入:1,420億円
  • 運営支出:1,160億円
  • 差額(黒字):約230〜280億円

確かにこれだけ見れば立派な黒字です。
入場者数は延べ2,500万人を超え、イベントとしては大盛況。
しかし、本当に黒字と言えるのは「運営だけ」の話です。


見落とされている「会場建設費」と「インフラ投資」

多くの人が勘違いしやすいのが、会場や周辺インフラにかかる費用が別枠扱いになっている点です。

  • 会場建設費:2,350億円
  • インフラ投資(道路・鉄道など):8,390億円

つまり、万博関連の実際の支出は1兆円規模に達しているのです。
これらを含めずに「運営黒字」とだけ言うのは、企業でいえば建物建設費を除外して「営業黒字」と言っているようなものです。

もしディズニーランドやUSJがこのような会計をすれば、誰も信じませんよね。


税金はいくら使われたのか?

この「会場建設費」や「インフラ投資」は、国・自治体・民間が3分の1ずつ負担する仕組みになっています。
結果的に、国民の税金から支出される額は約3,000億円規模

つまり「運営は黒字でも、トータルでは税金頼みの万博」というわけ。


愛知万博(2005年)との比較

では、過去の万博はどうだったのでしょうか。
2005年の愛・地球博(愛知万博)の数字を見てみましょう。

  • 運営黒字:129億円
  • 会場建設費:1,453億円
  • 関連インフラ投資:1,530億円
  • 公的資金:約2,000億円

愛知万博も「運営は黒字」でしたが、全体では公費投入の大型プロジェクト
この構図は大阪万博とほぼ同じです。


伝説の「1970年大阪万博」はどうだったのか

1970年の大阪万博は今でも伝説的なイベントとして語り継がれています。
その理由は、桁外れの入場者数と時代背景にあります。

  • 入場者数:6,122万人
  • 入場料:800円(今の価値の約1/10)
  • 運営黒字:194億円
  • 会場建設費:523億円(公的資金350億円)

当時としては高額な投資でしたが、経済成長期の日本に大きな希望を与えた万博であり、太陽の塔などの後世に残る資産も生まれました。


そのため、国民の「納得感」は非常に高かったといえます。


海外の万博との比較:上海・ドバイはどうだった?

世界の万博の数字を見てみると、「赤字」や「巨額投資」はむしろ当たり前です。

上海万博(2010年)

  • 運営黒字:136億円
  • 入場者数:7,309万人(世界最多)
  • 会場建設費:2,566億円
  • 関連インフラ投資:4.8兆円

国家規模のプロジェクトとして莫大な費用を投入。日本の比ではありません。

ドバイ万博(2020年)

  • 運営収入:1,230億円
  • 運営支出:4,160億円
  • 運営赤字:▲2,930億円
  • 会場建設費:4,380億円
  • インフラ投資:4,500億円

ドバイの場合は運営自体が約3,000億円の大赤字
それでも開催したのは、国の威信や観光プロモーションを目的とした「国策イベント」だからです。


経済効果2.7兆円の“現実”

大阪万博の経済効果は「2.7〜2.9兆円」と発表されています。


数字だけ見れば、「3,000億円の税金が2兆円以上に化ける」ように感じますが、この経済効果というのはあくまで“推計”に過ぎません

愛知万博では2.8〜7.7兆円という幅があり、
東京オリンピック(2021年)は6兆円の経済効果とされましたが、国民の多くはその「実感」を得ていません。

山田氏も「経済効果はあくまで目安。実際に税収が戻るわけではない」と指摘しています。


結局、大阪万博は「黒字」なのか?

結論から言うと、運営単体では黒字、全体としては実質赤字です。
しかもその赤字は、将来的な税負担という形で私たちに跳ね返ってきます。

ただし、万博の目的は「利益」ではなく、文化・技術・国際交流の象徴
その意味では1970年のように「納得感」を得られるかが重要なポイントです。


万博の“本当の価値”はこれから決まる

1970年の大阪万博は、今の価値に換算すると約15兆円の経済効果を生み出したと言われます。
それは単にお金の問題ではなく、「国民の誇り」や「未来への希望」という目に見えない価値があったからです。

2025年の大阪万博も、今後の跡地利用や都市開発がうまく進めば、
数十年後に「やって良かった」と言われる可能性はあります。

しかし現時点では、黒字報道の裏に隠れた巨額の支出と税金負担を、冷静に見つめる必要があるでしょう。


まとめ:数字は“夢”の裏側を映し出す鏡

万博は確かに楽しく、夢のあるイベントです。
しかし「楽しい」と「儲かる」は別問題。
報道の「黒字」という言葉に惑わされず、数字を分解して見ると、本当の姿が見えてきます。

最終的に問われるのは、国民が納得できる投資だったのかどうか。
万博が終わった今こそ、その問いに向き合う時期に来ているのかもしれません。

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