北海道・釧路湿原の近くで進められているメガソーラー建設計画をめぐり、新たな展開がありました。
釧路市議の木村議員が、事業者による工事開始時期の虚偽報告疑惑を突き止め、これがもし事実であれば「森林法違反」や「森戸規制法違反」にあたる可能性があると指摘しています。
この発見が、ついに工事中止の“決定打”になるかもしれません。
■ 問題のメガソーラー事業とは
問題となっているのは、釧路湿原国立公園周辺の北斗地区で、企業「日本エコロジー」が進めている大規模太陽光発電所建設計画です。
以前からこの事業については「環境破壊」「法令違反の疑い」がたびたび報道され、地元住民や環境団体、市議らの間で懸念の声が上がっていました。
今回の焦点は、「森戸(もりど)規制法」に関する違反の可能性です。
この法律は、2021年の熱海土石流災害をきっかけに制定され、一定の条件下で森戸(土砂を盛って土地を造成すること)を行う場合、都道府県知事の許可を得ることを義務付けています。
■ “3月着工”と“4月着工”で矛盾する届け出
日本エコロジーは、北海道に提出した書類で「工事着工日を3月17日」としています。
この日付であれば、森戸規制法が釧路市で施行される4月1日以前に当たるため、「許可不要・届け出のみ」で済む計算になります。
ところが、釧路市に提出した別の書類では、工事着工日が「4月28日以降」と記載されていたことが判明。
市への届け出には「生態調査を4月19日に実施し、その後に着工する」と明記されており、こちらの記録が正しければ4月1日以降=許可が必要だったことになります。
この二つの公式書類の矛盾こそが、今回の最大の問題点です。
■ 「猛吹雪の日に工事開始」は不可能? 衛星写真が決め手に
木村市議は、この矛盾を確かめるため、4月以前の現地衛星写真を入手。
その結果、3月時点では現場に伐採の形跡がなく、雪で覆われていたことが確認されました。
気象データを調べたところ、3月17日前後は猛吹雪が続いており、実際に工事を行うのは不可能な状況だったといいます。
この事実から、「3月17日に着工した」という日本エコロジーの報告は虚偽の可能性が高いと指摘。
もし4月以降に工事が始まっていた場合、北海道知事の許可なしでの無許可工事にあたることになります。
木村市議は釧路市を通じて、「北海道に対し再調査を求めてほしい」と正式に要請しました。
■ 無許可工事なら「工事中止命令」も視野に
この虚偽報告が事実と認定されれば、北海道は工事中止命令を出す十分な法的根拠を持つことになります。
また、意図的な虚偽報告だった場合には刑事事件として扱われる可能性すらあると、木村市議は述べています。
この件については、以前から森林法違反や環境影響評価の不備なども指摘されており、行政の対応が問われる局面となりそうです。
■ 所有権はすでにシンガポール企業へ転売
さらに調査を進める中で、驚くべき新事実も明らかになりました。
このメガソーラー事業の土地の所有者はすでに外国企業へと渡っているというのです。
今年3月、愛知県の会社が土地を取得した直後、シンガポールの企業へ転売されていたことが判明。
つまり、太陽光発電所がまだ稼働もしていない段階で、土地が“マネーゲーム”の対象として転売されていたことになります。
事業者(日本エコロジー)と土地所有者(シンガポール企業)が別々であるため、将来的に設備トラブルが起きても責任の所在が曖昧になりかねない状況です。
ましてや外国企業が相手では、補償や撤去費用の請求も困難となる可能性があります。
■ 太陽光の“負の遺産”が残る懸念
釧路市は独自の条例でメガソーラーを規制しているものの、罰則が軽く、実効性が乏しいのが現状。
筆者のてつや氏は、「違反があったら事業者が倒産するほどの罰則が必要」と強調しています。
また、日本はすでに国土面積あたりの太陽光パネル設置数が世界1位。
2位のドイツにダブルスコアで差をつけていると言われます。
しかし、日本は山が多く平地が少ないうえ、北海道のように日照時間の短い地域では発電効率が悪く、そもそも「太陽光発電に不向きな国」でもあります。
そのため、山林を切り開いての大規模開発は「狂気の沙汰」とも言われており、環境破壊と将来のパネル廃棄問題が深刻化しています。
■ 国際的にも“潮目の変化”が
さらに興味深いのは、クリーンエネルギー推進を牽引してきたビル・ゲイツ氏が、最近になって「温室効果ガスよりも人々の生活向上に注力すべき」と発言した点です。
ゲイツ氏は、「気候変動は重大な問題だが、人類滅亡につながるものではない」と述べ、温暖化対策への過剰投資に疑問を呈しました。
この発言を受け、グリーン投資の熱狂が冷める中で、不要になった太陽光パネルが“日本に押し付けられる”流れになるのではという懸念も出ています。
■ 結論:国民も「無関心ではいられない」段階に
今回の釧路メガソーラー問題は、一企業の不正疑惑にとどまらず、
「日本の土地と環境をどう守るのか」という根本的な問題を突きつけています。
「国民が無関心のままでいると、自分たちの国土まで壊されていく。
もう“無関心でいられる時代”ではない。」
環境保全、地方行政の監視、そして外国資本の土地買収問題――
これらすべてが交わる“釧路メガソーラー”の行方から、目が離せません。
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