ドイツ・ベルリンで長年論争の的となってきた「平和の少女像」に関して、大きな動きがありました。
ベルリン市のミッテ区当局が、像を設置している団体に対して2025年10月14日までに自主撤去を求める通告を出したのです。
もしこの期限までに撤去が行われない場合、行政が強制的に撤去する「代執行」に踏み切るとしています。
長年続いた「平和の少女像」論争
ベルリンの「平和の少女像」が設置されたのは、2020年9月25日のことです。
設置場所はドイツ・ベルリン市のミッテ区モアビット地区で、設置を主導したのは韓国系市民団体「コリア協議会(Korea Verband)」でした。
この像は、かつての日本軍「慰安婦」被害者を象徴するものとして製作されたもので、「平和の象徴」を掲げつつも、その背後には強い政治的メッセージが込められています。
そのため、設置当初から日独韓の三国間で激しい論争を呼びました。
設置直後からの撤去騒動
像が建てられた直後、日本政府は「特定の政治的主張を公共の場に持ち込むことは不適切」として撤去を要請しました。
ベルリン・ミッテ区当局も一度は同様の判断を下し、撤去命令を出しています。
ところが、設置団体であるコリア協議会がこの決定に異議申し立てを行い、ベルリンの裁判所が「撤去を一時的に停止する」決定を下したことで、像はそのまま残されました。
これにより、設置から4年以上にわたり、撤去要請と反対運動が続く膠着状態が続いてきたのです。
ベルリン市が“強い姿勢”を見せた背景
ベルリン市当局が今回、撤去期限を明確に定めた背景には、市民からの根強い反発があるとみられています。
現地では「平和の象徴どころか、むしろ対立と摩擦を生み出している」との声も多く、設置団体の主張とは裏腹に地域社会を分断する要因となっていることが問題視されてきました。
また、維持費や管理費の問題もあり、「行政が永続的に面倒を見なければならないのか」という批判も強まっていました。
こうした状況を踏まえ、今回ベルリン市が「代執行」という強硬手段を示唆したのは、長年の膠着状態を打破する決断といえるでしょう。
市民やネット上の反応
このニュースに対して、現地や日本国内のネット上ではさまざまな反応が寄せられています。
- 「ベルリン市、よく動いてくれた。素晴らしい決定だ」
- 「“平和”の少女像じゃなく“争い”の少女像に改名した方が実態に合っている」
- 「公共の場に置くのは迷惑。撤去費用も請求してほしい」
- 「お金を払えば置けるという仕組み自体がおかしい」
- 「最初に設置を許可したドイツ側にも問題があるのでは」
中には、像の設置運動を「ビジネスのように繰り返している」と指摘する声もあり、もはや象徴ではなく“対立の象徴”になってしまったという意見が目立ちました。
表現の自由と公共空間の線引き
今回の騒動は、単に一つの像を巡る問題にとどまりません。
公共の場における「表現の自由」と「市民の調和」をどう両立させるかという、現代社会共通の課題を浮き彫りにしています。
ベルリン市が「撤去代執行」という厳しい手段を取るかどうか、そしてその決断がどのような国際的反応を引き起こすのか――。
今後も注目が集まりそうです。
まとめ
- ベルリン市ミッテ区が「平和の少女像」に撤去要請を通告
- 期限は10月14日、応じなければ代執行で強制撤去
- 背景には市民からの反発と政治的対立の長期化
- ネット上では「当然の判断」「もううんざり」といった声が多数
- 公共の場での表現のあり方を改めて問う出来事に
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