※本記事はYouTube動画をもとに再構成したものであり、記述はあくまで動画内の主張に基づくものです。事実認定や断定的な判断を行うものではありません。
序章:止まった配当、動かない建物
かつて「安心の不動産投資」として注目を集めた「みんなで大家さん」。
しかしいま、このファンドで配当が3ヵ月連続で停止しているという事態が発生しています。出資者はおよそ3.7万人、集められた資金は約2,000億円にも上ると言われています。
その巨大な仕組みが、いま音を立てて崩れ始めているのです。
旗艦プロジェクトである「成田ゲートウェイ」は、もともと2021年3月に完成予定でした。しかし、現在の進捗はわずか2%。新たな完成予定は2027年末と大幅に延期されました。
「なぜこんなに遅れているのか」「なぜ配当だけが続いていたのか」。投資家の疑問と怒りは日増しに強まっています。
配当ストップという“終わりの始まり”
投資家にとって最も恐ろしいのは「配当が止まること」です。
7月に遅延が発表され、「8月・9月には支払う」と説明されましたが、結局その約束は守られませんでした。
動画によると、現在では他の18プロジェクトすべてでも遅延が発生しているとのことです。
運営側は「地代収入から配当している」と説明していますが、肝心の物件がほとんど完成していない段階で、安定した賃料を得ることは極めて困難です。
そのため、一部では「グループ内で資金を回して配当を支払っていたのではないか」という疑念が広がっています。
もし本当に新しい出資金を使って既存の配当を支払っていたとすれば、それは“ポンジ化”の構図といえます。
「進捗2%」の衝撃と見えない原資
この問題の中心にあるのが、やはり成田ゲートウェイ計画です。
動画では「建設コストの上昇や人手不足など、外部要因の影響もある」としながらも、それだけでは説明できない深刻な遅れがあると指摘されています。
2021年から4年近く経っても、まだ2%しか進んでいないという事実は、単なる遅延ではなく「計画そのものの崩壊」を意味しているのではないかと疑われています。
さらに、運営側が「不動産の売却や海外投資家からの資金調達を進めている」と説明しているにもかかわらず、実際に配当再開の兆しは見えていません。
現金収入がほとんどない状態で配当を維持してきたとすれば、どこからお金が出ていたのかという疑問は当然です。
行政処分と解約殺到、悪夢の連鎖
動画では、東京都や大阪府による一部業務停止命令にも触れています。
これをきっかけに、出資者の間で不安が一気に高まり、解約の申し出が殺到したといいます。
しかし、会社側は資金繰りに行き詰まり、解約に応じることができない状態が続いているとのことです。
配当の停止、進捗の遅れ、行政処分、そして解約の集中。
このすべてが同時に重なれば、資金ショートに陥るのは時間の問題です。
動画では、「もし倒産すれば、負債が資産を上回るため、出資金の回収はほとんど望めない」と警鐘を鳴らしています。
“安心の不動産投資”として広く知られたブランドが、今や崩壊寸前の危機に瀕しているのです。
なぜここまで資金が集まったのか
「みんなで大家さん」がこれほど多くの資金を集められた背景には、いくつかの巧妙な要素があります。
まず、年7%という絶妙な利回り設定です。高すぎると怪しまれ、低すぎると魅力がない。7%という数字は投資家心理にとって“最も誘惑的なライン”だったのです。
さらに「行政の許認可」「空港用地」「テレビCM」といった“信頼を感じさせるワード”が随所に使われ、投資初心者にも安心感を与えていました。
また、クラウドファンディング型の不動産投資が流行していた時期でもあり、ネット上で簡単に申し込める手軽さが参入障壁を下げていました。
「みんながやっている」「テレビで見たことがある」という空気が、多くの人の判断を鈍らせてしまったともいえるでしょう。
投資家が今できること
もし出資者であるなら、今すぐに契約書や約款、メールのやり取りなどの証拠を保全することが重要です。
また、配当遅延の通知やスケジュール変更の発表内容なども、すべて記録しておくべきです。
監督官庁の行政処分履歴を確認し、弁護士や会計士などの専門家に相談することも必要です。
一人で悩まず、同じ立場の出資者と連携して行動することが、最悪の事態を防ぐ唯一の手段かもしれません。
編集部コメント:7%という“甘い罠”
投資の世界では、「年7%」という数字ほど人を惑わすものはありません。
高すぎれば危険を感じ、低すぎれば興味を失う。
その中間である7%は、投資家の警戒心をうまくすり抜け、まるで“現実的な夢”のように見えるのです。
しかし、現実にはそんなに都合のいい話は存在しません。
進捗2%で配当を出し続けるという事実こそが、この案件の異常さを物語っています。
キャッシュフローの裏付けがない配当は、いずれ必ず止まります。
“原資はどこから出ているのか”という問いに、誰も答えられない投資は、最初から危ういのです。
終章:信頼は、積み上げるより崩れるほうが早い
投資の基本は「増やす前に、減らさないこと」です。
どんなに魅力的に見える案件でも、その配当の裏にある現実の数字と根拠を確認しなければなりません。
「みんなで大家さん」の騒動は、私たちにその原点を思い出させる事件です。
信頼を取り戻すのは簡単ではありません。しかし、今後の投資人生を守るためにも、「なぜ」「どこから」「どのように」お金が動いているのかを、冷静に見極める力が必要です。
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